滋賀県は１８日、福井県内の原発で放射性物質が放出される事故が起きた場合の琵琶湖への影響予測と広域避難計画案をまとめた。福島第１原発と同規模の事故が発生した場合、飲料水の摂取制限基準を超える汚染が湖面の面積比で最大２割に広がることが分かった。県外避難は大阪府内４３市町村が受け入れ先となり、長浜、高島両市の対象住民が主にバスで移動する方針を打ち出した。

　その結果、北西の風で雨が降った１２年１２月１０日の気象条件では、事故１日後のセシウムの累積値が最大で高島市南部の沿岸で１平方メートル当たり３千キロベクレルを上回った。別の日の気象条件では、ヨウ素が高島、長浜市境の沿岸で５千キロベクレルを超えた。

　国の緊急時の飲料水摂取制限基準でみると、湖岸の各浄水場の取水口が多い水深０～５メートルまでの表層では、セシウム（基準値１リットルあたり２００ベクレル）は湖面の面積比で１８％、ヨウ素（同３００ベクレル）は２０％で基準を超えた。セシウムは１０日後、ヨウ素は８日後にこの面積が１％以下になった。セシウムとヨウ素は浄水場で一定の除去が可能という。

　広域避難計画は、県が事故時に屋内退避が必要になるとみて設定した県版ＵＰＺ（緊急防護措置区域）に入る長浜、高島両市の計約５万８千人が対象。

　各市に２カ所ずつ設けた「避難中継所」で被ばく検査と除染を実施。長浜からは大阪府南部の２６市町村、高島からは北部の１８市町へ移動する。

　県はこれらの内容を同日の地域防災計画見直し検討会議に報告した。本年度中に同計画を改定する。【京都新聞】

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原子力災害対策見直し 長浜、高島避難時間を想定

◆県検討会議　年度内に計画改定へ

　東京電力福島第一原発事故を踏まえ、対策を練る県地域防災計画・原子力災害対策編の見直し検討会議（議長＝林春男・京都大防災研究所教授、委員１２人）の第２回会合が１８日、県庁で開かれた。福井県内の原発で事故が起きた場合の広域避難計画案の策定状況などが話し合われた。

　計画案では、県独自の放射性物質拡散予測による緊急時防護措置準備区域（滋賀県版ＵＰＺ、最大４３キロ）に含まれる長浜、高島両市の約５万８０００人を避難対象に設定。県南部だけで受け入れが賄いきれない場合、大阪府や中部地方方面も避難先とする。

　住民は原則、自家用車の使用は避け、県や市町が用意するバスで避難する。長浜市の県立長浜ドームなど４か所に設ける、スクリーニング（放射能検査）や除染を行う避難中継所を経由する。

　混雑が深刻化したケースとして、シミュレーションで、避難者の９５％が自家用車を使用し、５０５台の避難バスを運用したと設定。この場合、原発からの距離を問わず一斉避難したと仮定して、ＵＰＺ圏からの脱出にかかる時間は、▽自家用車、バスともに長浜市は２時間５０分▽高島市は自家用車が５時間１０分、バスは５時間４０分――などと見積もった。

　また、甲状腺がんのリスクを抑える安定ヨウ素剤を、両市の保健所や医療機関、教育施設、周辺市の市役所などに備蓄し、避難者に配布する計画案なども報告された。

　来年１月の第３回会合を経て、同３月の防災会議で防災計画の改定を目指す。【読売新聞】